西日本の岡山県には、その堂々とした黒い外観から「カラス城」と呼ばれる16世紀の城や、日本三名園 (1)のひとつである後楽園 (2)、そして日本のデニム産業がある。
ここで生産されるデニムは、児島に本社を置く学生服の輸出業者、丸尾が倒産の危機に陥った絶望的な状況から生まれた。丸尾は、必要な追加資金を稼ぐために東京の闇市にある店と契約を結び、廃棄されたアメリカのヴィンテージジーンズを日本人の体に合うように仕立て直すという仕事を請け負った。この試みは成功したが、ヴィンテージジーンズの供給が不足していたため、丸尾は自分たちでジーンズを作ることを思いついた。岡山でジーンズを一本も持っている人がほとんどいなかった時代には荒唐無稽な行動に思えたが、1970年代には日本で最も売れるジーンズとなり、アメリカのブランドをしのぐまでになった。
児島の町はそれ以来、ジーンズのデザイン、縫製、洗いの拠点として機能してきた。今日では、ジーンズをテーマにした特別バスが観光客を「ジーンズ・ストリート (3)」へと連れて行ってくれる。そこでは、地元で作られたデニムを観察したり、インディゴ色のブルーベリーアイスクリームを味わうことができる。






T.Tのジーンズは岡山で作られており、昔ながらのシャトル織機 (4)を使ってセルビッチデニムを織り、糸の構造から紡績、スラブの長さに至るまで、ユニークで個性豊かなテキスタイルを生み出している。デニムにはロープ染色を用いる。ロープ状に撚った糸をインディゴの桶に素早く浸すのだが、染色時間が短いためにインディゴが繊維に十分に浸透しない。この工程により芯まで染まりきっていない糸が作られるため、デニムの色落ちが早く、美しく仕上げることができる。


