日本の南西沖に浮かぶ奄美大島 (1)へは、鹿児島から船で11時間かかる。そこでは、鬱蒼とした森に囲まれながら、1300年以上もの間、地元の人々が島に自生する車輪梅(テーチ木)の樹皮 (2)を採取してきた。木は裁断された後、かご (3)に積み上げられ、かまどで熱した水の入った桶に慎重に入れられる。
辛抱強く、時には1週間も待つと、液体はゴボゴボと音を立てながら染料ヘと変わる。深い青色に染まった手で、布を液体の中に下ろし、何度もひっくり返す。その後、pHを均一にするためにアルカリ性の溶液と混ぜ合わされる。これには、かつて乾燥サンゴが使われていたが、現在は石灰が使用される。






肥後染色はこれを3回繰り返した後、布を外に運びだす。島に残る150万年前の原始的な堆積物の古層に泥穴を掘り、鉄分を多く含む泥の中に繊維を沈めるのだ。
生地が出来上がると、丘の斜面を蛇行する小川に登って洗う。
そうして、艶やかな黒や深い茶色が生み出される。今回のコレクションでは、13着にこの技法が用いられた。テクノロジーや大量生産を避け、ハンドメイドの工程を経ることで、一着一着に個性が備わる。そして、年月とともに変化していく様は日本庭園のようでもある。






