「未来は過去にある」。T.T 創設者・髙橋大雅は、蒐集したアメリカンヴィンテージから、古い服に眠る形と知恵を掘り起こし、現代へと甦らせてきた。「応用考古学」と名づけられたこの実践を、T.T ウィメンズは世界へと拡張する。繰り返し立ち現れてきた「衣の原型」、すなわちアーキタイプを発掘し、布に重ねられていく時間そのものを、価値として差し出していく。メンズが過去を参照する服だとすれば、ウィメンズは、未来から参照される服である。
変わりながら受け継がれていくことに、永続性は宿る。平安時代以前、日本は他国の文化を貪欲に吸収し、やがて国風文化として独自の表現へと結晶させてきた。仏像の襞から世界に通じる美を見出し、和魂洋才を重んじた髙橋大雅の姿勢を引き継ぎ、日本の手仕事を起点に、世界各地のクラフトと協業しながら、新しい一着を編んでいく。
T.T のシグネチャー オリジナルデニム
米国産オーガニックコットンを、岡山の旧式力織機で織り上げた3/1左綾、ライトオンスデニム。シャトル織機とも呼ばれるこの旧式機は、現代の織機の10〜20分の1という速度でゆっくりと布を紡ぐ。その時間が、綿糸本来の凹凸と、表情豊かなムラを生地に宿す。
経糸は、硫化染料をミックスしたインディゴをロープ染色で芯白に。風化を思わせるグリーンキャストの色味が漂う。緯糸には、年月を経た黄ばみのような生成りの特注ネップ糸を。この2種の糸が織りなすのは、T.T 独自の、濃く深いインディゴブルー。
仕上げにはサンフォライズドの防縮加工を施し、「白耳」のセルヴィッジをベルト裏など随所に活かした。革パッチは奄美大島の泥染め。袖を通すたびに、肌へと深く馴染んでいく一枚。



Denim Jacket / Flair Denim Trousers
T.T のシグネチャーであるオリジナルデニムを纏ったデニムジャケット。1920年代のデニムジャケットを参照したメンズの「Lot.703 DENIM JACKET C.1920’S」を起点に、女性のからだに馴染むよう肩線、着丈、身幅の比率を丁寧に組み直した。余分なディテールを削ぎ落とし、生地そのものの表情がまっすぐに立ち上がる構成へ。素材に語らせる潔いシルエットは、ヴィンテージワークの骨格を宿しながら、いまの女性の所作に寄り添う一着。
かつて T.T に存在したレディースモデル「Lot.705W」を起点に、シルエットを丁寧に磨き直したフレアデニムトラウザーズ。腰回りのフィット感、膝下から広がる角度、裾の落ち方。一本一本のラインを再設計し、より洗練されたフレアシルエットへと辿り着いた。リベットなどの装飾を排することで、ハードウェアが主張しないクリーンな表情に。歩くたびに裾が揺れ、縦のラインを長く美しく描き出す。
ファネルネックカバーオールジャケット
T.Tメンズのアイコニックな「Lot.303 Coverall Jacket」を起点に、首元をやわらかく包み込む独特なファネルネックのフォルムへと仕立て直した。肩の縫い目を落としたドロップショルダーが特徴。ボリュームを抱えながらも丈を詰めた、オーバーサイズのクロップドシルエット。ワークウェアの硬質さを解きほぐし、女性のからだに沿うように再構築されたフォルムは、凛とした佇まいを立ち上げる。


Funnel Neck Denim Coverall Jacket
T.T のシグネチャーであるオリジナルデニムを纏った一着。米国産オーガニックコットンをシャトル織機でゆっくりと織り上げた生地が、ファネルネックのフォルムにあたたかみと存在感を与える。グリーンキャストの濃いインディゴが、首元から胸元へと深い陰影を描き、着るほどに自分だけの色へと育っていく。ワークウェアの骨格に、女性らしい余白を宿したカバーオール。

Funnel Neck Coverall Jacket
T.T オリジナルの綿シルクカシミヤカツラギを使用。野蚕シルクが自然な光沢を湛え、カシミヤがやわらかな風合いを添えながら、コットンが全体を支える。三つの繊維が織りなす生地は、ワークウェアにふさわしい堅牢さを保ちつつ、ふっとほどけるような上質さを携える。
エントレフィーノラムレザー
T.T オリジナルの、エントレフィーノラムレザー。エントレフィーノとは、ピレネー山脈の高地で育まれる最高品種の子羊のこと。吸い付くようになめらかな肌に、スペインでクロム鞣しを、日本では染料のみで色を施す。顔料を介さないぶん、革そのものの表情と呼吸がまっすぐに立ち上がる。



Zip up Leather Jacket
エントレフィーノラムレザーを使用した、コンパクトフィットのジップアップジャケット。高橋大雅のアーカイブに眠る1940年代のレザージャケットを起点に、女性のからだに沿うよう輪郭を描き直した。色は、染料だけで深みを宿したブラックとバーガンディ。今後、奄美大島の伝統技法である泥染めをラムレザーに重ねた一色も登場する。ジップスライダーは、1920年代のアールデコ意匠を再構築したオリジナル品
引き算のスタンダード





Classic Shirt
一見、クラシックでシンプルなシャツだが、その実、目には映らない極限の上に成り立つ一枚。超長綿の最高峰、エジプト綿「ギザ」を170番の細さに引き、二本撚り合わせて一本の糸とする。それを、糸と糸の隙間を限界まで詰めた超高密度で織り上げる。立ち上がるのは、綿でありながらシルクのように肌を滑る生地。やわらかく、つるりとして、指でなぞればすっと抜けていく。古いシャトル織機がゆっくりと紡ぐ時間が、ほかでは生まれえない表情を、一枚に宿らせていく。仕立てはクラシックなリラックスフィット。ボタンには、髙橋大雅の彫刻作品「無限円」から着想を得た T.T オリジナルの貝ボタンを添えた。

Infinite Dress
絹紡糸ならではの落ち着いた光沢と、ところどころに浮かぶネップ。その表情豊かなシルクツイルで仕立てた、バイアスカットのドレス。髙橋大雅の彫刻作品「無限塔」を、彼が思い描く時間の可視化として読み解き、デザインの中核に据えた。彫刻が湛える螺旋の構造を、服のカットへと翻訳。三本の短冊が螺旋を描きながら巻き上がって、一着のドレスを成す。縫い目もまた、身体を巡るように螺旋を辿っていく。

Easy Pants
一本のパンツに、引き算の美学が織り込まれている。ゴム入りのウエストには本来、ゴムを通すトンネルを縫うため、ステッチが表へ顔を出すもの。しかし脇のシームを取り去り、ポケットはウエストダーツの内に潜ませることで、それを見せない構造に。残されたのは、徹底してミニマルな表情と、脚をまっすぐ長く描き出すワイドストレートレッグ。トリアセテートサテンの深く艶やかな光沢が肌に寄り添う、リラックスフィットのイージーパンツに仕上げた。削ぎ落とした先にこそ辿り着く美しさが宿っている。
ハンシャン・カシミヤ
内モンゴルの奥深く、豊かなミネラルを湛えた清流がたゆたう「罕山(ハンシャン)」。ここでは広大な平原を自由に歩き回る山羊たちが、自然の恩恵を一身に受け健やかに育つ。この地特有の厳しい風土と慈愛に満ちた環境が、至高の原毛を育む。採れるカシミヤは、未加工の状態でも輝くような白度を誇り、かつ極めて稀少な繊維の長さを備えている。繊維の宝石と称されるわずか14〜15ミクロンの細さは、厳格な選別と、伝統に裏打ちされた手作業の櫛入れを経て抽出される。機械的な採取では到達し得ない深みのある光沢と、肌に触れるたびに静かな高揚を覚える滑らかさを宿す。

Cashmere Cardigan
内モンゴル四大産地のひとつ、ハンシャンカシミヤを使用したクロップド丈のカーディガン。オリジナルのリリヤーン糸でふくらみと肉感を持たせ、切り替えやボタンを削ぎ落としたレギュラーフィットに仕立てた。ローホワイトとナチュラルブラウンは、カシミヤヤギの毛色をそのままに、無染色で仕立てた、無垢の美しさを纏う一枚。
無限を結ぶ

Infinite Circle Belt
染料のみで仕上げた T.T オリジナルの牛革を、髙橋大雅の彫刻「無限塔」をモチーフにした真鍮バックルが束ねるベルト。バックルは、職人の手と機械の動きが重なり合いながら、一点ずつ姿を結んでいく。革をバックルに通して結ぶ、サイズフリーの仕様。腰元に、彫刻のような佇まいを添える一本。

Infinite Circle Hand Braided Belt
T.T オリジナルの革紐を、レザーブレーディングの職人が手で編み上げたベルト。先端には揺れるフリンジ。編み目のひとつひとつに、人の手の温度が宿る。バックルもまた「無限塔」を象った真鍮製。彫刻の面影が、腰元へと立ち現れる。編み込みをバックルに通し、好みの長さに調整可能。