


T.T I-A 001 | OBJECTIVE MEDITATIONS, Artefacts from the Archive of Taiga Takahashi
T.T, 京都・祇園
2024年4月26日〜5月13日
総合芸術空間T.Tにて、新たに立ち上がったプロジェクト「T.T I-A (Institute of Archaeology)」の第一回展「OBJECTIVE MEDITATIONS」が開催された。髙橋大雅が遺したおよそ2000点におよぶ衣服やオブジェの蒐集物を公開し、プロジェクトの根幹をひらく試みである。

T.T I-A、髙橋大雅の応用考古学を継いで
考古学とは、過去の遺物を通じて人間の文化を読み解く学問。T.T創設者の髙橋大雅は、自らの実践をこれになぞらえ「応用考古学」と名づけた。物の起源にまで遡り、その構造や性質を緻密に読み解くことで、衣服や彫刻、建築といった自身の表現へとつなげていった作家だ。蒐集物との対話、希少な素材による工芸品、そして何世代にもわたり技を継いできた職人たちとの出会いが、髙橋の応用考古学を少しずつ形づくっていった。



T.T I-Aは、その思想を継ぎ、歴史的な思考と、それが立ち上がる過程を記憶にとどめるための、創造の旅としてはじまった。大量生産・大量消費が前提となった現代において、失われつつある遺物を保存し、過去から学ぶこと。そこから独自の美学を備え、機能と持続性をあわせもつ物を生み出せるのか。T.T I-Aはこの問いに向き合いながら、長い時を経て残された衣服や建築、消えゆく職人の技、自然環境、そして茶の湯といった日本人の精神性に連なる研究を続けていく。






三つの素材、三つの保管庫
本展は、「木(建築)」「石(彫刻)」「布(衣服)」の三つのテーマによって構成された。それぞれの自然素材と造形のあいだに横たわる関係は、髙橋の芸術活動を貫いてきた考古学的な視点をそのまま映し出している。木、石、布のひとつひとつを、人間の知にまつわる過去の情報をたくわえる保管庫としてとらえ、そこに残る制作の過程や使用の痕跡を提示する。並べられた蒐集物は、自然素材も人工素材も、歴史、精神、機能、物の本質、精巧な技術といった要素を内包したまま、美と手技を封じ込めたタイムカプセルとして来場者の前に置かれた。

木の柱の接合部は、それを刻んだ職人や、かつて立っていた建築について何を物語るのか。石の鉢はかつて何を納め、いかなる儀式に用いられたのか。人の手から生まれた物がたたえる質感、示唆、意味、空気、そして記憶。それらを介して、来場者は過去とのつながりを自らの身体で受け止めていく。
会期のあいだ、総合芸術空間T.Tは瞑想的な景観へと姿を変え、空間と物への新たな探求が立ち上がる場となった。