T.T 2026 Autumn Winter "SNOW ARRIVAL" Third Delivery

T.T 2026 Autumn Winter "SNOW ARRIVAL" Third Delivery

T.T Women 2026 Autumn Winter Third Delivery T.T 2026 Autumn Winter "SNOW ARRIVAL" Third Delivery 1 分

雪は天から送られた手紙である。雪の結晶に生涯を捧げた物理学者、中谷宇吉郎はそう書いた。結晶のかたちには、それが生まれた上空の気象が記されている。衣服も同じだ。裁ち方や縫い代の始末には、それが作られた時代と、それを着た人の仕事が残されている。シーズン最後となるサードデリバリーで、視線は配達の道筋を離れ、軍の駐屯地や山の作業場、炭鉱の坑道へと降りていく。深く取られた股上、裁ち切りのままの始末、擦れる場所だけを覆うレザー。中谷が結晶から空を読んだように、一着の構造から、それを着ていた人の一日を読むことができる。

 

LOT.410 MACKINAW COAT

GRAY PLAID, BLACK PLAID

マッキーノとは、カナダの地名だ。19世紀初頭、そこに駐屯した英国軍のために、ブランケットを裁って仕立てられたコートがこの服のはじまりだった。やがて軍の外へ出て、山で働く人の仕事着になり、街の装いにもなっていく。

下敷きにしたのは1930年代の米軍のマッキーノコート。日々着るものにするため、ウエストベルトを外し、ラペルやステッチ幅といった細部も引きなおした。2枚のウール地をニードルパンチで重ね、無数の針が布を貫いた痕を、そのままバッファローチェックの柄にしている。地面に少しずつ雪が積もりはじめた光景を思い描いた、今季のコンセプトを象徴する一着である。

 

 

LOT.412 BRITISH POSTAL WORKER DUFFLE COAT

NAVY, BLACK

ダッフルコートの名を広めたのは、第二次世界大戦下の英国海軍。ここで原型にしたのは、それが軍を離れて民間に渡ったあとの姿。1960年頃、英国の郵便配達人が着ていた一着である。

軍用との違いは二つ。フードがないこと、そして前身頃の合わせが左右で揃わないこと。構造線も始末も、ほとんどが裁ち切りだ。その切り詰め方を受け継ぎ、そのうえで軽さを出すために接結二重織のオリジナルメルトンリバーを使った。生地は1反ずつ毛並みを乱しながら仕上げ、ヴィンテージに近いむらのある表情を出している。木製トグルには1つずつ漆を塗った。

 

 

LOT.332 LEATHER-PIPED CUFF SPORTS JACKET

BEIGE, BLACK 

袖口とポケット口を、レザーが縁取っている。擦れやすいところを守るための仕事で、そこからこの一着ははじまった。

前振りの袖付け、サイドアジャスター、胸のファスナーポケット。ここまでならモータースポーツ用に間違いない。ただし背幅と前幅の取り方、着丈の前後差を見ていくと、作り手がもっと広い場面での着用を見込んでいたことがわかる。BLACKにはラムウールのダブルクロスビーバーを、袖口には馬革を使い、異素材のコントラストを生み出した。

 

 

LOT.607 SWEAT COAT

HEATHER GREY, MUD BROWN

1920年代のアメリカに、スウェット・コートと呼ばれる服があった。スウェット地で仕立てられたジャケットだ。襟、前立て、丸編みで成形された袖口とウエストのリブ。簡素に見えて、ほどいていくと組み立ては複雑に入り組んでいる。

その要素をできるかぎり取り出し、そこに新たな解釈を重ねた。ボタンはナットボタン。泥染めは製品染めで施し、ニュアンスを出している。

 

 

LOT.533 ZIP-UP KNIT BLOUSON

NAVY, BLACK

柄が合っていない。1940年代のフランスで作られたこのブルゾンは、前身頃の左右で線がわずかにずれている。直すべき点として扱われることもなく、そのまま編まれ、そのまま着られ、残った。このずれをそのまま引き継いだ。糸は北米ロッキー山脈のメリノ種。二重編みで暖かく、アウターとして着用できる。

 

 

LOT.122 ONE-PIECE COLLAR SPORTS SHIRT

LIGHT GRAY PLAID, NAVY PLAID

台衿とハネ衿を、一枚のパターンで起こしたワンピースカラー。開いたときに衿がやわらかく巻くのは、そのためだ。1940年代後半から1950年代にかけて、ウインタースポーツで着られたスポーツシャツが下敷きになっている。

綿にアルパカを混ぜた糸を2×2の綾で甘めに織り、起毛をかけた。両胸のパッチアンドフラップは、柄をきっちり合わせてある。手数を惜しまなかった時代の優雅で丁寧な技術を甦らせた。

 

 

LOT.224 M-43 FIELD TROUSERS

BROWN, BLACK

深く取った股上と、ワタリから裾までまっすぐ落ちるワイドシルエット。1940年代のU.S. ARMYのフィールドトラウザーズが持つこのかたちは、別のパンツの上から重ねて履くためのものだった。裾のアジャストタブは、裾を絞ってブーツに入れやすくするための仕掛けだ。

乾いた手触りとハリコシのあるウール100%を使い、まっすぐなシルエットをより構築的に立ち上げている。

 

LOT.204 ENGINEER TROUSERS

DARK BROWN, CHARCOAL

カリフォルニアで見つかった18世紀のワークパンツが原型。深い股上、ワタリから裾まで太さを保つシルエット。生地はミリタリーモールスキンを使った。その名のとおり、モグラの肌のような光沢とわずかな起毛を持つ厚手の素材で、かつてフランスの炭鉱で働く人のワークジャケットに使われてきた。

ヴィンテージらしい風合いを出すために、あえてガサつきのある糸を選んだ。前処理にシルケット加工をかけると、上質な光沢と粗さが同居する。仕上げはガーメントダイ。縫い目や生地の凹凸に濃淡が生まれ、単色でも平坦にならない。

特注の刻印入りボタンとバックパーツには鉄を使い、あえてメッキをかけていない。時間が経てば錆が浮かぶ。着ては洗い、また着るうちに、色も質感も移ろっていく。履く人の時間のなかで仕上がっていく一本だ。

 

 

LOT.010 US MILITARY HAT

BROWN, BLACK

CCC(市民保全隊)の制服には、同じ生地で作られたデニムハットが合わされることが多かった。1930年代に、アル・キャップの漫画『リール・アブナー』の女性キャラクターにちなんで「デイジー・メイ」と呼ばれるようになった帽子だ。ただしデザインそのものは1908年まで遡る。

第一次世界大戦のあいだに、作りは簡素になった。コットンライニングは取り払われ、スウェットバンドはレザーからデニムへ変わる。クラウンも4枚接ぎから6枚接ぎに移った。ここで参照したのは、1937年に定められた最終仕様のM37。そこへ向かう過渡期のディテールを、色濃く残している。前シーズンはコットンだったが、今シーズンはハリとコシのある羊毛を使い、ドライタッチに仕上げた。

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