T.Tのウィメンズラインのローンチにあたり、創設当初からの協働者であるロンドンのクリエイティブスタジオ「OK-RM」(オリヴァー・ナイト、ロリー・マクグラス)を迎え、書籍、映像、インスタレーションからなるエキシビション『IN THE BEGINNING WOMAN WAS TRULY THE SUN』を開催する。東京・日本橋にて、会期は2026年8月1日から8月9日まで。
創業者・髙橋大雅がT.Tを始動する前、最初に手がけていたのはウィメンズウェアだった。今回のウィメンズラインの誕生は、ブランドの原点、あるいはそれ以前の記憶へと遡るような感覚を伴う。本展は新ラインの発表にとどまらず、OK-RMのまなざしを介してT.Tの輪郭を見つめ直す契機となる。
このエキシビションの核となるのは、OK-RMが「ワールドビュー」と名付けた思想だ。男性性と女性性を対立するものとしてではなく、互いに支え合い、均衡を保つ力として捉え、T.Tの世界を俯瞰していく。日本の陰陽思想や神道に息づく相補的な感覚にも共鳴しながら、世界をひとつの全体として捉えようとする試みでもある。
この思想は、T.Tが一貫して重んじてきた「応用考古学」というアプローチとも深く結びついている。歴史的遺物とのつながりを物語のなかに見出し、機能美やロジカルな美学を追求してきたこれまでの歩みに対し、本展はより神秘的で、コントロールから緩やかに解放された領域へと踏み込んでいく。
写真と映像の制作は、従来のファッションイメージの文脈から距離を置いて進められた。リサーチはジェスチャー、シンボル、動きといった微細な要素へと分解され、台本を用意しつつも、撮影現場の偶然性や即興性を引き受けるための余白が残されていた。実用に根ざした日常の現実(デイリー・リアリティ)と、イマジネーションによって立ち上がる想像的現実(イマジナル・リアリティ)。この二つの位相がブックと3チャンネルの映像インスタレーションへとそれぞれ結晶化し、会場では異なる時間を湛えながら深く共鳴し合う。
本展に伴い刊行されるブックは、ハードカバー仕様。全116ページにおよぶ本文には質感の異なる複数の紙を混在させ、ページをめくるたびに手触りと視覚的表情が移り変わる精緻な設計が施されている。
クリエイティブディレクションのOK-RMをはじめ、写真にオルヤ・オレイニ、セットデザインにアニカ・ティームス、テキストにリラ・マツモト、スタイリングにマリー・テレーズ・ハウスティン、映像にポル・ガルシアが参画。「応用考古学」という方法論を通じて問いを掘り下げる、継続的な実践の系譜がここに提示される。
展覧会情報
IN THE BEGINNING WOMAN WAS TRULY THE SUN
会期 : 2026年8月1日〜8月9日
営業時間: 11:00 - 18:00
*最終日の9日は11:00 - 17:00 / 最終入場は閉館の30分前
会場: 直観(東京都中央区日本橋兜町3-3 1F)